右手に釣り竿、左手に鯛を持って、
満面の笑顔で笑う恰幅のよい恵比須様は、
「七福神」のなかで唯一日本独特の神様とされています。
他の神様は中国やインドの神様だからです。
さて、恵比須様とは誰でしょうか。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの第三子である
蛭子尊(ひるこのみこと)という説、
大国主命(おおくにぬしのみこと)の第一皇子・
事代主命(ことしろぬしのみこと)との説、
また海彦山彦だとされる説などいろいろ伝えられています。
鮫や鯨など大きな魚に追われた小魚の大群が、
海辺に押し寄せられることがあります。
自然現象にせよ、そういった遠方から豊漁をもたらすものを
漁民たちはエビスと呼び、神として信仰する民間信仰もあります。
よく釣れたときに「釣りの神様がおりてきた」などと
言ったりしますが、毎回、神様の力には頼れません。
よく釣れるようになるには努力が必要です。
技術だけでも知識だけでも釣れないものです。
「釣り」を楽しむには、
学習する前向きな気持ちや向上心をもって、
いろいろな情報にアンテナを伸ばし、経験を積むことです。
「釣り」をしない人からみると、
糸をたれてボ〜ッと座っているだけのようですが、
実は頭の中はフル回転しています。
天気のこと、波のこと、エサのつけ方、
魚の泳ぎ具合いなどあらゆることです。
観察力、洞察力、想像力を総合してこそ、
技術につながり、知識につながります。
体力も必要です。
海や山・河に出かける健康体でなければ、
楽しむことはできません。
そして、どんな場合でも、
人間としてのモラルがなければいけません。
釣り場でのマナーやルールは、
ちょっとした心がけひとつで守ることができるものです。
私たちが「釣り」をするのではなく、
大自然を少しだけ貸していただくという気持ちを
忘れてはいけません。
自分勝手な「釣り」ではなく、
他人と対話し、波や風と対話し、
たとえ釣れなくても、「つまらない」などと思わず、
次回にその反省をいかしてのぞめば、
達人の域に少し近づいていくのではないでしょうか。
釣りあげた時や帰る道中で、
余分なストレスを与えないようにするためのコツを
知ってください。
慣れるまでは、なかなかむずかしいものですが、
せっかく釣った魚ですから、ぜひおいしく食べてください。
網ですくうと、狭い網の中で暴れて身が傷つくだけでなく、
動きにくい状態になることで
強いストレスを感じて死んでしまうことが多いのです。
魚肉に含まれるアミノ酸が分解されてしまうからだそうですが、クーラーでも同様です。
暴れると血がにじんだ状態になり、
血の臭みが魚肉に残ってしまいます。
鮮度が落ちると細菌の作用で生臭くなりますし、
放置したり魚が苦しむような状態では味は落ちる一方です。
「生きている=鮮度がよい」ことではありません。
余分なストレスを与えず即死させること、
釣ったらすぐに締めることが大切です。
小魚であれば氷締めがよいでしょう。
バケツなどに泳がしておいて、
魚が死んだ後に氷に入れたのでは、氷締めになりません。
釣り場に着いたら、
まず、氷を入れたクーラーに海水を入れ用意しておきます。
釣れたらすぐにクーラーへ。
海水程度の塩水で、塩氷を作って持って行くのもよい方法です。
中型以上の魚は、釣ったらすぐに締めて血抜きをします。
血を海水できれいに洗い流してから、クーラーに入れましょう。
ただし、魚を直接氷にあてると
変色したり硬直したりしますので、
タオルや新聞紙などで包んで、
魚が氷の冷気の下になるように入れましょう。
「魚を締める」とは、延髄を切断し脳を破壊すること、
つまりは「即死させる」ということです。
魚の多くは、エラの横と尾の付け根が急所です。
目の後方親指1本くらい離したところにナイフを入れ、
脊椎の中骨まで深く切り込んで太い血管と神経を切断します。
生臭くなるのを防ぐために、
締めたときにエラも一緒に取り除いたほうがよい魚もいます。
次に「血抜き」です。
身に血が入らないようにして、生臭くなることを防ぎます。
魚体を折り曲げたり、頭を下にして逆さにすると血抜きができます。
]]>どこの産物で、いつが旬で、どのようにできるかなど。
魚の形さえわかりません。
トレイに乗っている切り身しか見たことがないのですから、
無理もありません。
「釣り」のすばらしさは、
そういう自然界を目の当たりにできることにあります。
輸入マグロばかりでなく、足を運んだ近場の釣り場でも、
季節ごとに異なる美味しい魚がいることを知ってください。
いくつか紹介しましょう。
メバルは、春告魚との名をもつとおり旬は春です。
丸い大きな目が特徴で「10円玉」などとも呼びます。
生息場所により赤メバル・黒メバル・金メバルと
区別されています。
身がしまり淡白な味わいのメバルは、煮つけ料理に最適です。
夏から晩秋にかけてはタチウオが夜釣りの主役となります。
形が太刀に似ているから、
立ち泳ぎをするからと名前の由来はいろいろです。
焼きものに調理されることが多いのですが、
新鮮なら薄くそぎ切りにして紅葉おろしとポン酢など
刺身もおいしいものです。
のんびりウキ釣りでも探り歩くミャク釣りでも楽しいのが、
ハゼです。
初夏には越冬したヒネハゼ、
夏にはその年生まれのデキハゼが釣れます。
そして最盛期が彼岸の頃です。
彼岸ハゼという言葉があるように、
ハゼは秋の小物釣りの代表です。
サクッとした食感の天ぷらが定番ですが、
小さい型は丸のまま南蛮漬けに、
大きい型は甘露煮にすると保存できます。
釣り人の腕が試されるというカワハギの旬は、
肝が大きくなる冬が一番です。
名前のとおり、口先に包丁を入れ、
尾へ向かって皮をはいで調理します。
薄造りは淡白ながら濃厚で、フグに勝るとも劣りません。
「カワハギは肝を食べる」と珍重される肝は、
そのホロ苦さの美味に言葉を失うほどです。
一年中釣れて、どの季節でもおいしいカサゴは、
テトラの穴釣りや探り釣りでよく釣れます。
きれいな白身はクセがなく、
薄造りや洗いにするとコリコリした食感が味わえます。
唐揚げやこってりした煮つけ、
また、ブツ切りにしてみそ汁にも入れます。
船に乗らずとも、
防波堤に座っているだけで酔うこともあります。
波酔いです。
同行者やまわりの人に迷惑をかけないように、
酔うメカニズムを知って、対策法を知っておきましょう。
人間は、耳の奥にある三半規管の働きによって、
身体のバランスを保っています。
前庭器と三半規管との相互作用で
身体の傾きなどを脳に伝えますが、
長時間、船や車などに乗っていると、
乗り物の振動によって三半規管や前庭器の耳石器が
刺激を受けつづけることになります。
それが自律神経や脊髄神経を不安定にさせ、
さらに、目にもその刺激が加わって視覚が混乱し、
乗り物酔いになるというわけです。
予防としては、前夜には食べ過ぎたり飲み過ぎたり
しないように注意しましょう。
油気の多い食べものを控え、
消化のよいものを食べたほうが無難です。
そして、できるだけ睡眠時間を多くとりましょう。
日ごろの疲れを抱えたままで出かけないように。
横になって目を閉じ、
身体も神経もリラックスさせるようゆったりすることを
心がけます。
寝不足と過労は、船酔いになりやすい原因です。
ピッタリ密着性の高いハイネックや
ウエストのきつい服は避け、
身体を締めつけない衣類を着用しましょう。
また、船の上でエサをつけたり糸を結んだりの
細かい作業をしないように、
仕掛けづくりは乗る前にすませておきましょう。
酔い止めの薬は、
飲んでから効果を発揮するまでの時間がさまざまです。
なんでも効くわけではありませんので、
効能をよく知って、使い分けをしなければ
飲んでも意味がありません。
突起物がついている〈酔い止めバンド〉を
着用している人も見かけます。
手首にある精神安定に効くツボを押し、
乗り物酔いを防ぐらしいのです。
意外に、自己暗示も効果的です。
一度船酔いをしてしまうと、
今度は乗る前から「酔うのでは…」と
神経を混乱させてしまっている場合があります。
これこそ自律神経を不安定にさせる大きな要因です。
「自分は酔わないぞ」と強く暗示をかけてみてください。
「釣り」の楽しみを少しでも知ってしまえば、エサづけは全然苦にならなくなります。
エサをうまく鈎につけられるようになったら一人前、
ともいわれるほどです。
しかし、一人前になるには、
エサづけばかりでなくエサの保存方法や処理の仕方、
エサを入れた容器の掃除、
また釣り場から帰る時の残りエサの処理などが
きちんとできなければなりません。
くねくねと動く活きエサには種類がたくさんあり
、釣る魚によって変わります。
ほとんどの魚の釣りに向く万能エサは、
青イソメ・石ゴカイ・マムシ・コガネムシ・袋イソメなどの
〈虫エサ〉。
エサづけにコツがいらないので初心者向きです。
エビで鯛を釣るという例えどおり、
よく釣れるエサの代表は〈エビエサ〉です。
シラサエビ・ブツエビなど、生きていなければ食いつきません。
とても食いつきのよい〈アミエビ〉は、
冷凍状態で売っている保存できる万能エサです。
オキアミ・アミエビ・湖産・桜エビ・キビナゴ・
ホタルイカなど、価格が安いのでマキエにして使用します。
マキエとして使うものに〈配合エサ〉があります。
米ヌカやパン粉をベースに、粉末の魚が好むエサが配合されています。
釣り場で採集できる生き物がそこにすむ
魚の常用食と考えれば、
エサは現地調達もできるということです。
エサのつけ方にもいろいろあり、
工夫しがいがあるというものです。
頭をチョンと刺すだけの簡単な〈ちょんがけ〉は、
虫へのダメージが少なく、新鮮さを保つことができます。
縫いもののように刺す〈ぬいさし〉は、
エサが落ちにくく、投げ釣りなどの遠投げに向いています。
まとめて刺す〈ふさ掛け〉は
ボリュームがついて魚へのアピール度が高まります。
ベテランになると、ほおの部分を狙って刺す〈ほお掛け〉、
えらに掛ける〈えら掛け〉などの方法を使います。
水中での動きの絶妙さが効果的とのことですが、
刺し方がむずかしいようです。
「釣り」に慣れて自分の釣り方などが少し見えてくると、
よりバリエーションのあるエサづかいを覚えたくなるものです。
自分の得意な釣り方に合わせた好みのエサが必ず見つかります。
]]>市販の良い仕掛けを選び、
どう利用するかを考えることも楽しいものです。
釣りたい魚のサイズに合わせて、
鈎やハリスを組み合わせて選ぶ必要がありますから、
まずは達人や店員さんに相談しましょう。
市販仕掛けにはいろいろあり、目うつりしてしまうほどです。
鈎が一本だけついた〈一本鈎仕掛け〉は、
小さなオモリだけで釣るミャク釣りやウキ釣りに使われます。
砂地の海底で生活するキスやカレイなどを狙うときに使う
〈投げ釣り仕掛け〉は、
2〜3本の鈎がついていることが特徴です。
船釣りでよく使う〈胴つき仕掛け〉にも、
数本の鈎がついていて、ウキを使わずにそのまま投げいれます。
深いところではなく、浅い層や中層を泳ぐ魚をねらいます。
たくさん鈎がついていればよいというわけではありません。
多ければ、エサをつける作業もめんどうで、もつれるばかりです。
鈎にはエサをつけるのですが、疑似餌をつける
〈サビキ仕掛け〉は日本古来の仕掛けで、
主にサバなど青魚を釣るために使用します。
サビキとは、鈎に巻きつけてエサに見せかけるための
ハゲ皮やサバ皮など魚皮のことですが、
ビニール製などもあります。
アジやイワシ、サバなど青魚の仲間は、
餌をなだめすかし確認してから食べるという習慣がないので、
海中でエサのように見えれば食いつくのです。
サビキがなくても鈎がキラキラするだけで
食いつくこともあるほどですから、
〈サビキ仕掛け〉には、よくめだつ金属が使われます。
種類が星の数ほどある〈ルアー仕掛け〉は、
本物のエサの格好に似せて作った疑似餌(ルアー)を使います。
色とりどり、材質もさまざまなルアーは、
アクセサリーにもなるほどで格別な魅力があるようで、
釣り人のこだわりが強く表れるものでもあるようです。
いかに魚をだますかという駆け引きが、
〈サビキ仕掛け〉〈ルアー仕掛け〉の
楽しみではないでしょうか。
バリエーションが豊富で、
手頃な価格から高級品まで揃っています。
ドラグ機構が装備され、魚がかかって糸が強く引かれたとき、
その引く力に応じて自動的に道糸が出るような
仕組みになっています。
手づくり、手作業のイメージの強い「釣り」道具のなかで、
唯一ハイテクなアイテムであるリールは、
さらに機能性を高め、
より一層の軽量化や付加価値が求められています。
主に淡水のトラウトフィッシングなどで使われるリールに、
リアドラグ式スピニングリールがあります。
細い糸専用の小型のつくりで、
大型魚の釣りには向いていませんが、
ドラグがリールの後方についていますので
操作がしやすいことが特徴です。
ただし、前方についているタイプより
「利きがスムーズでない」との弱点もみられます。
レバー操作で一瞬にして糸が出せるレバーブレーキリールは、
磯釣りなどでよく使われるリールです。
魚のするどい突っ込みに対応できる機能は、
他のリールにはないものですが、
レバー操作に少しコツが必要で、
糸がらみなどのトラブルがあるようですが、
次々に改良されています。
投げ釣り用のリールには、
ドラグがついているタイプとドラグのないタイプがあります。
どちらも遠投げできるようにスプールが
大きなつくりになっています。
また、ハンドルの巻き上げ速度が速く、
遠いところからでも仕掛けを早く回収することができます。
初心者であれば、オールマイティで、扱いやすい、
少し良いものを選んでおくと、
いろいろな場面で役立つのではないでしょうか。
少なくとも、
糸が平行に緻密にきれいに巻けるかどうかはチェックしましょう。
糸のヨレが起きないもの、
ドラグの利きがスムーズなものを選びましょう。
強ければ、太ければ、大きければ良いというわけではありません。
リールは、魚のサイズ・道糸・竿との関係が密接な道具です。
自分の釣りに必要な的確な条件がわかるようになったら、
徐々に買い足していくことが失敗しないコツです。
釣りたい魚・釣りたい魚のサイズ・行きたい釣り場・
釣り方・全体の予算と竿にかける予算・
自分なりのこだわりなどを、箇条書きにまとめてみましょう。
それを達人や店員さんに見せてアドバイスを受ければ、
それをベースに具体的に自分の「釣り」がみえてきます。
道具全体のバランスを考えながら、
冷静な竿選びができるのではないでしょうか。
安くて良質のものを選びたいものですが、
竿の良し悪しを見分けるコツはあるのでしょうか。
竿は、いろいろなパーツの組み合わせでできています。
品質の低い安いパーツばかりが使われていれば、
竿の品質も落ちます。
塗装してある場合はわかりにくいのですが、
リールシートを目安にすることができます。
リールシートとはリールを取りつける台座のことです。
刻印を確認してみましょう。
高級品の竿には、
チタン刻印のリールシートがついていることがほとんどです。
ステンレスと刻印してあれば、
竿全体もそれなりに良心的な良質の材料が
使われていると判断してよいでしょう。
とても安い竿は、リールシートが鉄製で刻印もなく、
その他のパーツもそれほど良い質であるとはいえません。
竿のつくりを見分けましょう。
まず、竿を伸ばす前に、軽く上下左右に振ってみます。
音がすれば、何か異物が中に入ってしまっているということです。
竿つくりの途中で、余計な物が紛れ込んだのでしょう。
次に竿を伸ばします。
伸ばしたときに継ぎ目がガタつかないかどうか。
片目をつぶって、伸ばした竿が直線かどうかを確認してください。
地面に向かって少ししなるようにつくられていますが、
左右に曲がっていてはいけません。
きちんと分解できるかどうかをチェックします。
新品なのに、ネジが固すぎたり、取りつけが悪かったり、
竿の尻についている尻栓というフタが
スムースにはずせなかったりというのでは
良い竿とはいえません。
竿は、手入れや修理をしながら長く使っていくものです。
]]>いったん刺さった鈎が抜けないように、
カギ状に加工されています。
カエシあるいはモドリといわれます。
そのカエシの微妙な細工がすぐれていることから、
日本製の鈎は世界中で認められています。
オモリは、潮の流れにさからって、
エサをとどめておかなければなりません。
鉄より比重があり、小さくても重い鉛でできています。
海水にあたっても錆びないのが利点です。
小さいものは0.07〜0.27グラムほどで、
ジンタン、ガン玉 などと呼ばれます。
大きいものは500グラム以上の重さがあります。
ただ重ければよいということではありません。
釣り場の状況、潮の流れ、使う糸の太さや強度など、
さまざまな条件を合わせ考える必要があります。
魚が鈎についたエサを食べたことが
すぐわかるような仕組みがウキです。
魚がエサをくわえて泳ぎだすと、
糸が引かれてウキが沈むのでわかるというわけです。
浮木と書きます。
軽い木やプラスチック製で、
その浮力により、エサを一定の深さで保つことができます。
見やすくするためにカラフルなものが多く、
これら仕掛けは、いかに魚をだますか、
という魚との駆け引きのための道具といえます。
そこが「釣り」の楽しみでもあるわけです。
道糸とハリス、ハリスとオモリを連結する金具である
サルカンは、初心者にとって扱いやすく便利で重宝します。
とても小さい道具ですが、
糸のヨレを少なくする工夫がされていて、
必需品のひとつでしょう。
なかでもワンタッチ着脱が可能なスナップつきの
スナップサルカンは、
なんといっても取付け簡単のすぐれものです。
万が一、大きい魚がかかった時のために、
タモも用意しましょう。
魚をすくう網です。
海に落ちた帽子を拾いあげるためにも必要かもしれません。
その他、道具を入れる収納ケース、
釣った魚を入れるクーラーボックス、バケツ、餌、
さらには懐中電灯、防寒着などが必要です。
ひとつで役立つものもあれば、数種類必要なもの、
修理しながら使いつづけるものなど、
自分にとって最低限必要な道具が何かを考えながら揃えましょう。
まずは3つの道具。
竿、糸巻きであるリール、それと仕掛け。
仕掛けは糸・鈎・オモリ・ウキなどの小物のことです。
仕掛けの種類は数えきれないほどあり、
自分で工夫を加えれば、
さらに限りなく種類を増やすことができます。
仕掛けを工夫することも、「釣り」の楽しみでもあるわけです。
日本ほど多種多様なすぐれた竿が作られている国はありません。
竿づくりには、
職人の細やかな感性をひきだす独特の魅力があるようです。
グラスファイバー製、カーボン製、竹製と
さまざまな材質・サイズがあり目的によって異なります。
最近は、軽量で反発力にすぐれていることから
カーボン製の竿が人気ですが、
それぞれの特徴を知る必要があります。
価格の幅も広いので迷ってしまいます。
初心者は店員さんに相談しましょう。
釣り糸を巻き取るリールもいろいろな種類があります。
両軸リールはベイトリールと呼ばれ、
巻く力がとても強く糸に巻き癖がつきにくい作りになっています。
スピニングリールは、エサをつけた仕掛けを遠くへ飛ばすことができ、扱いやすいので、初心者はこのリールを使うことが多いようです。
「道糸」と「ハリス」という二種類の糸を組み合わせて使います。
「道糸=ライン」とは、
何十メートルもリールに巻きつけておいて、
魚の居場所までエサを届ける役目をします。
見やすいように、ほとんどが色つきのナイロン製です。
鈎をつける専用の糸が「ハリス」です。
強度にすぐれ、魚から見えにくくするため透明で、短くカットして使用します。
現在は透明の炭素繊維であるフロロカーボン製が主流ですが、
むかしは蚕からとった絹糸を撚り合わせた糸を
使っていたようです。
コツやヒントやポイントを早くつかんで、
自分のものにしていきましょう。
そのためには、洞察力・観察力・想像力が必要です。
そして、それらを総合して考える力です。
たとえば、ある釣り場に行って、どこに座るか、これは問題です。
そこで洞察力・観察力・想像力を働かせるわけです。
残り餌が落ちていれば、そこで釣れる魚の種類がわかります。
イカが吐いたスミや、魚をしめた時の血の痕跡が
まだ残っていれば、最近そこで釣り上げた証拠です。
いかにも地元のベテランのような人が、どこに座っているか、
また、どこに移動するか等も観察しましょう。
防波堤の先端は誰しも行きたがる所ですが、
人数も多く、魚も毎度のことに慣れてしまって
住みにくいのかあまり釣果は期待できないものです。
魚の巣となるテトラは、同じように並んでいるだけに見えますが、どこかくずれかかったり、くぼんだりしている所があるはずです。
そういう変形しているところを探しましょう。
コンクリートの継ぎ目や岩の間等に少しでもスキ間があれば、
そこが狙い目です。
藻が生えている場所、プランクトンや小魚のたまり場所、
時刻と潮の流れ、魚の食事時間、海底の起伏の様子、
前日の天候など。
いろいろなことを観察して、洞察して、想像して、
それらを総合して積み重ねていくことが、
釣れるチャンスを逃さないコツでしょう。
そう考えると、わざわざ遠出するより、
気軽にいつでも行ける近い釣り場に、何回も行ったほうが、
いろいろな観察ができますし、
より深く知ることができるといえます。
何よりの勉強でしょう。
ベテランの人が座っていたところに座っても、
同じようには釣れません。
仕掛けや道具で魚を釣るのではありません。
大自然の中に飛び込むのですから、自然の摂理にしたがって、
さまざまな自然の変化を感じとり、
観察に時間をかけることは、
仕掛けなどに凝るよりもきっと役立ちます。
最近ではインターネットから
たくさんの情報を入手することができるようになり、
「釣り」に関してもさまざまな形式のサイトがあります。
「いま、何が釣れるか」というリアルタイムなニュース、
専門別の詳しい情報や釣り人の生の声をきくこともできます。
そして質問やお悩みにも答えてくれます。
釣り雑誌や釣り新聞は、
週刊や月刊という刊行日に合わせた内容の編集が
おこなわれますので、
リアルタイムというわけにはいきませんが、
印刷物として手もとに残る利点はあるはずです。
どんな方法にしても、
たくさんの情報から必要な事柄を選びだすのは、自分です。
自分にとって必要な情報か否かを、
見る力や読み込む力はもちろんのこと、
読み流す力も必要でしょう。
目的によって得たい情報はさまざまです。
道具を買うにあたって調べたいことがある、
技みがきのコツのヒントを得たい、
釣り場の天気を確認したい、
おもしろ釣り日記で笑いたい、
仕掛けについての解説を読みたい・・・など。
気をつけなければいけないのは、
種類ばかりでなく、情報の質もさまざまあるということです。
編集作業のプロセスがある雑誌や新聞と異なり、
インターネットは、
誰でも気軽にスポンサーに気づかうことなく
ホームページ等を開設することができます。
言い換えれば「なんでもOK」状態ですので、質は問われません。
正しい情報と間違った情報を判断する力をもって
インターネットを利用しないとなりません。
本当に「まずは基本を」ということであれば、
やはり入門書の類を手にとるべきでしょう。
書籍をつくる際には、企画考案から仕上がりまで、
多くの各分野の専門家がたずさわることを考えれば、
その確かさはレベルの高いものでしょう。
きちんとした写真や図解、出典の明らかなデータがあれば、
わかりやすく、繰り返し読むことができます。
初心者の域を少し脱したころに、
インターネットのいろいろなサイトを見るとよいでしょう。
上手に活用できるのではないでしょうか。
第一歩としては、
まず、大きな釣り具ショップをのぞいてみましょう。
種類がたくさんあること、
いろいろな価格帯の品揃えをしている点や、
店員さんに質問もしやすいので、
規模の大きなチェーン店のようなショップは
入りやすいのではないでしょうか。
また、淡水専門店や沖釣り専門店、フライショップなど、
専門分野のショップもたくさんあります。
チェーン店とはちがう品揃えが魅力です。
どのようなちがいがあるのかを知っておくことも必要でしょう。
チェーン店と専門店のちがいを知っておけば、
自分の買いたいものや買うべきものが、
きちんと選べるはずです。
地元にある老舗やこだわりのある小さな釣り具店に踏み込むのは、自分も何かに少しこだわるようになってからでも遅くありません。
大きなショップでは得られない何かが必ずあるはずです。
はじめから無理したり見栄をはったりして
高級品を揃える必要はありませんが、
「初心者に高級品は不要」というわけではありません。
耐久性や性能と価格のバランスを見きわめる知識も
増やしていかないといけないということです。
低予算にこだわるばかりに、
品質の悪い道具を買うことになってしまっては、
結果的には「高くついた」ことになってしまいます。
それは「釣り」にかぎったことではありませんが。
きちんと良い道具は少し高いかもしれませんが、
使い勝手が良く、すぐに使いこなせるようになり、
腕もあがるというものです。
達人・先人の意見をきくことも上手な買い物をするコツですが、
アドバイスを100%鵜呑みにしなければならないということではありません。
ベテランは、
さまざまな経験からアドバイスをしてくれるのですが、
そのまま初心者にとってプラスになることばかりではありません。
性格もちがえば、生活状況やふところ具合いもちがうのですから、アドバイスはあくまでアドバイスとして受け止めましょう。
何を「釣り」にいきましょうか。
シーバス・アオリイカ・へらブナ・イシダイ・チヌ・
根魚といわれるメバルやカサゴ・アイナメ、
ブラックバス・アユ・イワナ・ヤマメ・トラウト・・・
そして雑魚釣りというのもあります。
釣り方による呼び名もさまざま。
ルアーフィッシング・フライフィッシング・
餌釣り・投げ釣り・遠投げ釣り・ウキ釣り・
サビキ釣り・穴釣り・ミャク釣り・探り釣り・・・
そして夜に行う夜釣りもあります。
このように種類だけあげても
「釣り」は奥が深いということがわかります。
一種類の魚を追いかける人もいれば、
ある種の釣り方にこだわる人もいます。
釣り場の気候や状況、波や風の具合い、海水・淡水のちがい、
季節、時間帯、目的と、
あらゆる条件のちがいによって、楽しみ方がちがうのです。
釣り方が異なれば、道具の選び方も変わるでしょう。
同じ釣り場でも、季節が変われば釣れる魚も変わります。
釣りあげた魚を、その場で食べるのであれば、
また、楽しみは変わります。
「まずは気軽に楽しみたい」のであれば、
陸続きの防波堤での雑魚釣りが人気です。
釣り場や道具の知識があまりなくても、
体調や気分と相談しながら、
晴れて雲ひとつないような日に、
水面を見つめ、眼下に泳ぐ身近な魚を釣る「雑魚釣り」は、
「釣り」の第一歩として最適といえます。
そして、雑魚と言えどあなどれません。
意外な発見がたくさんあるでしょう。
すぐにポンと釣れることもあれば、
まるっきり釣れないことも。
自分ひとりだけ釣れないこともあれば、
周囲の羨望を集めるようなときもあるでしょう。
タイミングや仕掛けが合っていないかもしれませんし、
その辺りにいる魚の生態を知ることたいせつです。
魚は潮が流れていく方向から食べてきますので、
潮の流れを考慮しながら、
釣る場所を移動することも考える必要があります。
焦ることはありません。
知ろうという姿勢と経験が、達人に近づく道です。
それは、本当に親切な人と見せかけ親切を身きわめること、
そしてその対処法です。
見せかけ親切にもいろいろあり、本音はというと、
大きい魚を釣った自慢をしたい、
珍しい体験談を聞いてほしい、
「釣り」に対する情熱を語りたい、
他人の道具をチェックしたい、
「すごい!さすが!」と誉めて欲しい、
どんなに知識があるかをひけらかしたい・・・。
悪意はないのかもしれませんが、明らかに迷惑です。
だいたいが初心者や女性をターゲットとして、
見せかけ親切をきっかけにして近づいてくるのです。
また、そのほとんどが長引く傾向にあることが、
なんといっても困りものです。
押しつけがましく自分のやり方を教えたり、
他人の道具を触りまくったり、
「こうして、あぁして」と他人の道具で説明したり、
どこからか現れた仲間にまで囲まれて批評を受けたり・・・
逃げ出せません。
「もう、こんな釣り場には二度と来ないぞ」と思っても、
残念ながらそれは無駄です。
悲しいかな、こういう人は、
どこの釣り場にもいる「妖怪」のような存在なのです。
だからと言って、あきらめてはいけません。
対策はあります。
たとえ初心者でも、堂々としていること。
いっさい気にせず、軽く受け流すこと。
あからさまに無視するのではなく、
強い反応を見せないようにすること。
話に興味を示さないこと。
「釣り」は初心者でも、そして相手がとんなに年上でも、
こちらの気持ちは相手より大人でなければなりません。
それも「釣り」の楽しみとプラス思考に変えて、
上手な受け流し方を身につけてください。
困っている人を目撃したら、そっと伝授してあげてください。
そこで、今度は自分が「教え魔」になったりしないように、
気をつけなければなりません。
せっかくの大自然のなかにいるのですから、
人としてのモラルを冷静に考え、
マナーやルールを守り、
お互いを尊重しあってこそ、「釣り」が楽しめるのです。