釣り
「1日幸せになりたかったら、酒を飲みなさい。
3日幸せになりたかったら、結婚しなさい。
7日幸せになりたかったら、豚を殺して食べなさい。
一生幸せになりたかったら、釣りを覚えなさい。」
これは中国に古くから伝わることわざです。
そして「釣り」といえば、
「太公望」という言葉を思い浮かべます。
「たいこうぼう」もそもそもは中国の故事が語源です。
むかし、中国の周という国の王が、猟に出かけると、
川のほとりでみすぼらしい身なりの老人が釣りをしていました。
王がその老人に話しかけてみたところ、
態度もなかなか立派で知識も豊富でしたので、
相当な偉い方にちがいないと思いました。
名前をたずねると「呂尚(りょしょう)」といい、
特に仕事はしていない様子でしたので、
さっそく王はこの呂尚に自分の政治や学問の師匠に
なってくれるように申し出て、城に連れて帰りました。
そして、呂尚に向かって王は、このようにたずねました。
「いつか必ず立派な人物が現れて、この国を助けてくれるから、
と私の父はたいへん待ち望んでいました。
あなたこそ父の望んでいた人ではありませんか」。
そのとおり、周の国は栄え、王の子どもの武王の時代に、
呂尚は天下統一の手助けをしたのです。
太公とは王の父親のこと、
その太公が望んでいた人物だったという意味から、
この呂尚のことを「太公望」と。
そして、その太公望が釣りをしていた時に出会ったことから、
釣り好きな人のことを太公望と呼ぶようになったのです。
釣りをしていただけで、
国を変えてしまうほどの出会いがあったということです。
ただし、この故事からすると、
大物を釣りあげたのは呂尚ではなく、周の王だったわけですが。
海で、防波堤で、河で、渓流で、そして釣り堀で。
釣り堀は「釣り」のうちに入らないとの反論もありそうですが、
いろいろな楽しみ方があります。
場所によって道具や作法も違うでしょうし、
何より安全第一ですから、
初心者は先人や達人の声をよくきいて習うことが、
「釣り」の楽しみを知る第一歩ではないでしょうか。
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